緑内障の視野検査は難しい?コツを掴んで苦手意識を克服しよう!
「視野検査は疲れるし、難しいからやりたくないなぁ…」
「腰も痛くなるし、集中力が続かないのよねぇ…」
緑内障を患っている患者さんの視野検査を担当すると、よく耳にする言葉です。
この検査は、基本的に半年に1回、すなわち1年に2回しか行いません。
したがって、いざ検査となると患者さんがやり方を忘れてしまっていることがあります。
しかし、患者さんがやり方をしっかり理解しているかどうかで、視野検査が上手にできているかどうかが決まると言ってよいでしょう。
そのため、検査員は始まる前にやり方をきちんと説明して、患者さんに十分に理解してもらう必要があります。
緑内障の経過観察において、視野検査はとても重要です。
この記事では「視野検査は疲れるし、難しいからやりたくないなぁ…」と感じている方のために、検査を上手にうけるためのコツをお伝えします。
次の検査からは苦手意識を克服して臨んでいただけるよう、患者さんにわかりやすい言葉でご紹介していきますね!
緑内障の視野検査は「やり方」を理解すれば難しい検査ではない!
はじめに、視野検査とは何か簡単にお伝えしましょう。
まっすぐ前を見ている時に、上下左右どれくらいの範囲が見えているかを調べる検査です。
人間は物を見る時、両方の目で見ています。
したがって、片方の目を隠さないと視野に異常があるかどうかわかりません。
緑内障や視神経の疾患があると、片方の目だけ視野が欠けたり、左右で障害の程度が違うことがあります。
それらを調べるために、半球状の機械を使って片目ずつ左右別々に検査を行います。
頭を固定して、機械の中心をまっすぐ見ましょう。
はっきり見える明るい光、ぼんやり見える暗い光、大きさや明るさの違う光がついたり消えたりします。
その光が少しでも「見えた!」と感じたら、ボタンを押してもらう検査です。
文字に表わすと単純で簡単そうに思いますが、実際にやってみると難しいですよね!
続いて、検査のやり方を具体的にご説明していきますね!
なお、かかりつけの眼科によって、やり方に多少の違いがあるかもしれません。
準備
メガネをかけている人は、メガネを外します。
コンタクトレンズは、つけたままで大丈夫です。
検査でレンズを使う場合、マスクをしているとレンズが曇ってしまうのでマスクを外します。
光が見えた時に押してもらうボタンです。
どちらの手で持っても大丈夫です。
持ち方に決まりはないので、押しやすい持ち方で持ってください。
光が見えたらボタンを押して、すぐに放してください。
押したままにすると休止状態になり光が出てこなくなってしまいます。
隠した目は開けていて大丈夫です。
まばたきもしてください。
「覆ったガーゼがきつくて、まばたきができない」など、改善してほしいことがあれば、検査の途中でも遠慮なくお知らせください。
上まぶたが黒目にかぶさっていると、視野の上の方が見にくくなってしまい、検査結果に影響が出てしまいます。
「テープの固定が強すぎて、涙が出てくる」など、改善してほしいことがあれば、検査の途中でも遠慮なくお知らせください。
姿勢に無理があると、腰が痛くなったりして検査に集中できません。
椅子や顔の位置と高さなど、調整のご要望があれば、検査の途中でも遠慮なくお知らせください。
顔は正面をまっすぐ見たままで、アゴを顎台にのせて、ヒタイを額当てにしっかりつけます。
検査員が顎台を動かして、機械の中心と目の中心を合わせるので、患者さんは顔を乗せたまま動かずに正面をまっすぐ見ていてください。
顔の乗せ方が曲がっていると、検査結果に影響が出てしまいます。
検査の途中で目の中心がズレた時は、顎台を動かして目の中心を合わせ直します。
視野検査をする上で大切なのは、ストレスがない状態で検査を受けていただくことです。
検査が始まってからでも中断することができるので、途中で姿勢が辛くなったりしたら我慢しないで遠慮なく声をかけてください。
その時は、ボタンを長押ししていただければ休止状態になります。
検査
片目で約10分~15分、両目で20分~30分かかります。
視野検査が初めての方、やり方に不安がある方は本検査の前に練習を行いますので、上記時間に練習の時間が追加されます。
検査中は、機械の真ん中に見えるオレンジ色の光(固視灯)をじっと見て、視線を動かさないでください。
白いドームの中に「はっきり見える明るい光」「ぼんやり見える暗い光」など、大きさや明るさの違う光が順不同で様々な場所に現れます。
固視灯をじっと見ている状態で、その光が少しでも「見えた!」と感じたらボタンを押して、すぐに放してください。
決して光を目で追ったり探したりしないでください。
機械の音がしても光は出ていないことがあります。
すべての光が見えるわけではありません。
それが難しいから困るよね!
そうなのよ、どうしても光を目で追ったり探したりしちゃうのよね!
難しく感じますが、この検査はすべての光に反応しなくてはならないわけではありません。
見えたものだけにボタンを押していただければ大丈夫です。
それが患者さんの視野の状態を知る上で、とても重要となります。
これはテストではなく、検査です。
良い結果を出そうと気負わずに、リラックスして検査に臨んでくださいね!
緑内障の視野検査が難しいと感じるのは「体調」も関係している!
視野検査は、患者さんの「見えた」「見えない」といった応答を必要とする自覚検査です。
検査が上手にできているかどうかは「見えた光だけにボタンを押す」といった行為のほかに、検査当日の体調も少なからず影響しています。
なぜなら体調が万全でなければ、検査に集中して臨めないからです。
何回か視野検査を経験している患者さんでも、その日の体調や集中力、わずかな違いで検査結果にバラつきがでたりします。
前回あった視野欠損がなくなっていたり、進行していると思っていた所見が、次の検査ではそうでもなかったり。
その反対の場合もあります。
したがって、心身ともに万全な状態で視野検査に臨んでいただくことが理想的と言えるでしょう。
医師は、それらを考慮したうえで視野検査の判定を行っているので安心してくださいね!
睡眠をしっかりとろう
昨日の夜は緊張して、あまり眠れなかったのよね…
夜勤あけでそのまま来たから、寝ちゃうかも…
視野検査の当日、睡眠不足の患者さんは結構いらっしゃいます。
また、静かな暗い部屋で、集中力を保ちながらの検査も眠くなってしまう誘因の一つかもしれません。
眠くなって意識が遠のいていくと「光は見えているはずなのにボタンを押していない」といったことがでてきます。
この状態は検査結果に【偽陰性】として数値で表れます。
難しいかもしれませんが、視野検査の前日は睡眠と休養をしっかりとるよう心掛けましょう!
リラックスしよう
視野検査が終わった時、多くの患者さんが「疲れた!」「難しかった!」と口にします。
疲れる原因、難しい原因は何でしょうか?
- すべての光に反応しようと頑張ってしまう
- 光が出ていないのに機械の音につられてボタンを押してしまう
- 光っているかどうか迷ってしまい、ボタンを押すタイミングを逃してしまう
- 目を動かしてはいけないのに、光を目で追ったり探したりしてしまう
などが挙げられると思います。
緊張や集中するのに神経を使うことで、疲れてしまいますよね。
繰り返しになりますが、視野検査はテストではなく、患者さんの視野の状態を確認するための検査です。
必要以上に頑張って、良い結果を出す必要はないのです。
現在の病状を正しく把握することが重要で、それが適切な薬の選択や治療計画につながります。
何も考えずに肩の力を抜いて、リラックスした状態で検査に臨みましょう!
コツを掴めば緑内障の視野検査は難しいことはない!(まとめ)
緑内障を患っている患者さんは、視野検査と長くつきあっていかなければなりません。
しかし、多くの方は「疲れる」「難しい」などの苦手意識を持っています。
その苦手意識を克服するためのコツは4つ。
- 体調を整える
- 無理のない楽な姿勢で検査する
- 顔や視線は動かさずに、わずかでも光を感じたらボタンを押す
- なにか困ったことなどがあれば、我慢しないで遠慮なく検査員に伝える
最初は上手くできなくても2回、3回…と回数を重ねていくと徐々に慣れてきます。
コツを掴めば、何も考えずに見えたものだけにボタンを押す。
そのことだけに集中してできるようになるでしょう。
この記事が「視野検査は疲れるし、難しいからやりたくないなぁ…」と感じている方のお役に立てたなら嬉しいです。
視野検査は緑内障の経過観察において、とても大切です。
忘れずに検査を受けるようにしてくださいね!